27.Drager
Oxylog 2000
1.特徴(図III-27-1)
 酸素もしくは圧縮空気のガス圧を駆動源とし、MPUによるタイミング制御系とニューマティック回路によるガス制御系を組み合わせた、緊急用や搬送用の小型軽量な防飛沫・対衝撃構造の人工呼吸器である。簡易機でありながら、4LPMの感度のフロートリガー機構や、分時換気量モニター、本格的なディマンドバルブを装備し、10年前の普及機なみの性能を有する。しかし、ASB(PSV)や酸素濃度調節はできない。
2.性能
 モード...............................Assist/Control, SIMV,CPAP +PEEP
 一回換気量.......................100〜1500ml
 I:E比...................................1:3〜2:1 (流量.....4〜60LPM)
 ディマンドフロー............100LPM
 呼吸回数............................5〜40BPM
 バッテリー作動時間........最大6時間(NiCd電池),4時間(アルカリマンガン電池)
 ガス消費量.........................分時換気量+1 LPM(エアミックス時には1/2量)
            11 Lのボンベで200分(エアミックス時には400分)
 重量.....................................4.3 Kg + 酸素ボンベの重量
 消費電力.............................DC12V, 90mA(NiCd充電時には390mA)
                                      
3.機構の概略(図III-27-2)
 駆動ガスは、フィルター1で埃を除去した後、減圧弁2で一定の圧に安定化する。電磁弁3で吸気時(機械換気)に送気を行う。フローバルブ10(電磁サーボ弁)により流量調節を行う。 CPAPやSIMVの自発呼吸用のガスはディマンドバルブ6により供給する。モードスイッチ4は直接的にディマンドバルブの駆動ガスをON/OFFする。モードスイッチの位置を検出するために圧センサー5がある。
 PEEP圧は、駆動圧より電磁弁7を経由しPEEPレギュレター8で調整して作る。この圧はディマンドバルブの基準圧として入力し、ディマンドバルブはCPAP吸気時のガス源になる。Pmax(気道圧上限)を決定するのはMPUによる電気制御系であるが、これとは独立して過剰圧逃がし弁22や陰圧時(ガス異常時)の外気導入弁23が設けられている。
 差圧センサー26とゼロ点校正用の電磁弁27によりトリガー信号や分時換気量のモニターを行う。ゼロ点校正は機械換気相の最終部分で行う。
 エアーミックススイッチ16により酸素濃度を60%に希釈できる。スイッチの位置を検出するために圧センサー20がある。エアーミックス時にはガス消費量が1/2になる。ただし分時換気量により酸素濃度は変動する欠点がある。酸素濃度の調節機能は緊急用・搬送用と割り切っている。エアーミックス時には外気はフィルター19、ニューマティック弁18を経由してインジェクター12に吸引される。100%O2時にはインジェクター12はニューマティック弁11によりバイパスされる。
 気道内圧は圧センサー25でMPUに入力するが、これとは別にマノメーター24でモニターできる。
 呼気弁14はアンビューバッグについている弁機構と同様の構造で、加圧時に呼気を塞ぐ構造になっている。PEEP時にもPEEP圧で呼気を閉じる。ただしバルブメンブレーン(呼気弁膜)の劣化や汚染により弁の作動が影響を受けるので、保守管理に配慮が必要である。
 なお、モードスイッチやエアーミックススイッチがニューマティックスイッチになっているのは、消費電力を低減するためである。
4.操作
1)機器の設定(図III-27-3)
 Vt(一回換気量)とFreq(換気回数)を設定する。換気回数は5〜40回/分で設定できる(0〜5の位置では0と認識される)。SIMC/CPAPモードでは、換気回数がゼロであればCPAPになる。5〜12回/分では吸気時間は2秒に固定される。12〜40回/分ではI:E比が1:1.5に固定される。設定範囲は色分けされていて、茶色は成人用、青色は小児用、緑色は幼児用の範囲を示す。次にI:E比、Pmax(気道圧上限)、PEEPを設定する。PmaxはEvitaシリーズでは気道圧の上限を超えないように制御する目標値設定であるが、Oxylog2000では単にアラーム値の設定で、この圧に達すると機械換気は強制終了し、アラームが鳴る。モードやエアーミックスを設定すれば完了である。一般的には、酸素ボンベにより駆動しているときには、ガスの消費量を抑えるためにエアーミックスを選択する方が良い。なお、ディマンドバルブの駆動源はエアーミックスされないので、CPAP等の自発呼吸時は、駆動ガス(通常は100%酸素)がそのまま供給される。
2)機器の準備
 ガス圧を駆動源にしているので、ガスがなければ作動しない。ボンベの残量を適時確認する。また、予備のボンベを常備しておく。病院であれば、配管よりの酸素や圧縮空気を利用できる。酸素濃度を正確に設定するには、別途、O2-Airブレンダーを用意する。NiCdバッテリーの充電を常に留意する。電池でも作動するので、予備の電池(アルカリマンガン、6本)を常備しておく。オプションのDC-DCコンバーターを内蔵すればDC10.5〜30Vの外部電源で駆動できる。
5.モニター、アラーム
 液晶ディスプレーにより、分時換気量や換気回数、等を数値表示する。また、アラームメッセージもここに表示する。バッテリー、低気道内圧、気道圧上限、機器故障、無呼吸、分時換気量、等を監視している。分時換気量のアラーム値は固定で2LPMである。
6.メンテナンス
1)患者回路や呼気弁は適時点検し、また、最低限週3回、できれば毎日、洗浄滅菌すること。期間は患者の状態や使用環境により異なる。
2)機器は2年ごとにサービスによる点検を受ける。内蔵NiCdバッテリーパックはメッセージが表示された場合は交換する。また、最低2年で交換すること。減圧弁は6年ごとにオーバーホールする。
 
 
図III-27-1         Oxylog 2000外観
図III-27-2         Oxylog 2000ニューマティック
図III-27-3         Oxylog 2000操作パネル
1.気道内圧計
2.I:Eの設定
3.最大吸気圧設定
4.PEEP設定
5.モードセレクター(IPPV,SIMV)
6.メインスイッチ
7.エアーミックス(No Air Mix 100% O2, Air Mix 60% O2)
8.外部電源使用中に点灯
9.アラームライト
10.アラームリセットキー
11.液晶ディスプレー(分時換気量、アラームメッセージ)
12.照明、インフォーメーションキー(短く押した際にディスプレーが照明され、他の設定項目や測定値が表示される)、テスト(3秒以上押すと照明、アラームテストになる)
13.換気回数設定
14.1回換気量設定